【ゲーム課金の30%問題】プラットフォーム外決済に潜む課題と、乗り越える方法とは?

スマートフォンゲームやPCゲームの盛り上がりとともに、コンテンツ課金はゲームビジネスの根幹を支える存在となりました。しかし、アプリプラットフォーム内の決済にかかる約30%の手数料は、運営会社にとって極めて重い負担です。
この手数料を回避するため、近年注目されているのが「外部決済(プラットフォーム外決済)」の導入です。
本記事では、外部決済のメリットとともに、導入・運用・UXの各フェーズでゲーム運営会社が直面する課題を整理し、それらを解決する現実的な方法を紹介します。
目次
プラットフォーム手数料のインパクトとは?
App StoreやGoogle Playなど主要ストアでは、アプリ内課金に対して売上の約30%が手数料として差し引かれます。
たとえば1,000円のゲーム内アイテムが販売された場合、実際に運営側に入るのは700円。開発・サーバー・マーケティング費を考えると、特にインディーや中小規模のスタジオにとっては収益を圧迫する大きな壁です。
なぜ“外部決済”に注目が集まるのか?
アプリ外のWebブラウザ等を経由する「外部決済」を取り入れることで、下記のような恩恵が得られます。
- 手数料を大幅カット
自社サイトや専用の決済ページを経由すれば、決済手数料は3〜5%程度に抑えられます。
→ 1,000円の課金で最大250円の差益が生まれ、収益性が劇的に改善します。 - マーケティング施策の自由度アップ
プラットフォーム審査に縛られず、セール・バンドル・限定オファーなど、柔軟な価格設計とUI設計が可能に。ユーザー体験を損なわず、効果的なプロモーションが実現できます。 - ユーザーデータの直接取得
外部決済なら、ユーザーの購入履歴や決済傾向を自社で直接分析・活用可能。今後の開発や施策立案にデータドリブンな改善が行えます。
外部決済導入で浮上する3つの実務課題
便利な外部決済ですが、導入・運用には注意点も。特に下記の3点は、多くのゲーム会社がつまずきやすいポイントです。
①開発負荷とシステム複雑化
・決済画面の実装
・アカウント連携
・セキュリティ設計
これらには高い技術力とリソースが求められます。
また、PayPay・d払い・クレカなど、ブランドごとにAPIや契約が異なるため、個別導入は非効率かつ煩雑。少人数の開発チームでは、負担が大きすぎるケースも多発しています。
②決済ブランドごとの運用が煩雑
複数ブランドを導入した際、運用上で以下の課題が生じます
・入金タイミングのバラつき
各ブランドによって入金サイクル(週次、月末、翌月末など)が異なるため、資金繰りの予測が立てにくくなります。
・売上集計の非効率性
各ブランドの管理画面から異なるフォーマットで売上データを抽出し、それを統合して集計する作業は、時間と手間がかかります。
・返金・問い合わせ対応の複雑化
ユーザーからの返金依頼や決済に関する問い合わせがあった場合、どの決済ブランドで処理されたかを確認し、それぞれのブランドのルールに基づいて対応する必要があるため、カスタマーサポート(CS)の業務が煩雑になります。
こうした複雑な運用は、経理、CS、データ分析といったバックオフィス業務に大きなコストを発生させ、特定の担当者に業務が集中する「属人化」のリスクも高めます。
③一部ブランドは直接契約ができない
AlipayやWeChat Payなど、中国市場で広く利用されている主要な決済ブランドは、日本国内のゲーム運営会社が直接契約を結ぶことが困難なケースがあります。
そのため、これらの決済手段を導入するには、必ず決済代行業者を介する必要があります。決済代行業者を利用する場合、別途手数料が発生するだけでなく、サポート体制の質やトラブル発生時の対応速度、さらには連携の安定性など、新たな課題が生じる可能性があります。
UXにも潜むリスク ― ユーザーが離脱する3つの瞬間
外部決済は“収益性”には寄与する一方で、UX(ユーザー体験)に悪影響を及ぼす懸念もあります。
① 外部遷移による没入感の損失
ゲームアプリから外部ブラウザへ遷移して課金を行うフローは、ユーザーにとって「没入感が途切れる」瞬間となります。特にストーリー性の高いゲームや、集中してプレイしている最中に外部に誘導されることは、ゲームの世界観からの離脱を招きかねません。
さらに、外部サイトでのログインや二段階認証を求められるケースでは、操作の煩雑さからユーザーが離脱してしまう可能性が高まります。これは、課金意欲の低下だけでなく、ゲーム全体への満足度低下にもつながりかねません。
② 決済ページの“信用不安”
外部サイトでの決済は、ユーザーに「このページ、本当に公式のものなの?」という不安を抱かせる可能性があります。フィッシング詐欺や個人情報漏洩への懸念から、特にセキュリティ意識の高いユーザーや、保護者が支払いを管理する若年層のユーザーにとっては、決済をためらう大きな要因となります。
ゲーム運営会社が提供する決済サイトの信頼性が確保されていないと、課金コンバージョン率に悪影響を及ぼし、結果的に売上低下につながります。
③ 通信・エラーによるトラブル
外部ブラウザでの課金中にユーザーの通信環境が悪化したり、サーバーエラーが発生したりすると、決済失敗や二重決済といったトラブルが発生するリスクが高まります。このようなトラブルが発生した場合、ユーザーは不安を感じ、カスタマーサポートへの問い合わせが殺到する可能性があります。これにより、CSの対応負荷が大幅に増加し、迅速な問題解決が難しくなることで、ユーザー満足度の低下を招くことになります。
解決策:一括管理型の決済インフラで運用課題を払拭
上記のような外部決済の課題を解決し、メリットを最大限に享受するために注目されているのが、複数ブランドの決済手段を一括で導入・管理できる「一括管理型決済インフラ」です。
ELESTYLEが提供する「elepay」は、以下のような特徴を持ち、ゲーム運営会社が直面する課題を効率的に解決します。
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主要な決済手段を一括で導入
PayPay、d払い、au PAYなどの国内QRコード決済、主要なクレジットカード、さらにはAlipay、WeChat Payといった海外ブランドまで、多様な決済手段を単一の契約とシステム連携で導入できます。これにより、個別の契約や開発負担を大幅に削減します。 -
柔軟な課金導線生成
QRコードやURLリンク型など、ゲームの世界観やユーザーの導線に合わせた柔軟な課金導線を簡単に生成できます。これにより、アプリ内からのスムーズな外部遷移を実現し、UX分断のリスクを最小限に抑えます。 -
統合された管理画面
各決済ブランドの売上や入金状況を、単一の管理画面で統合的に確認・管理できます。これにより、経理・分析業務の効率化が図れ、入金タイミングのバラつきや集計フォーマットの違いによる煩雑さを解消します。 -
初期費用を抑えた導入
初期費用が抑えられているサービスが多く、小規模なスタジオやインディーゲーム開発者でも導入しやすい柔軟な料金体系が魅力です。一部の決済ブランドとの直接契約が不要なため、面倒な手続きや開発を最小限に抑えながら、多様な決済手段をユーザーに提供できるのが最大のメリットです。
詳しくはこちらのページをご覧ください。
まとめ
決済導線は“収益”と“体験”の両立装置
今や決済導線は、単なる「課金の通り道」ではありません。
それは、世界観を崩さず、ユーザーとの信頼関係を保ち、かつ収益を最大化するための“戦略装置”です。
以下の3軸でシステム選定を見直すことが、サステナブルなゲーム運営の鍵となります。
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運営のリソースに見合った設計か: 開発・運用における人員や技術的な負担が、現在のリソースで対応可能か。
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入金・集計・問い合わせ対応まで見越した構成か: 経理やカスタマーサポートの業務効率を低下させない、一元管理されたシステムであるか。
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ユーザーの安心感・使いやすさを担保できるか: セキュリティへの不安を払拭し、スムーズでストレスのない課金体験を提供できるか。
これらの観点を総合的に考慮し、ゲーム運営会社とユーザー双方にとって最適な決済システムを選ぶことが、ゲームの成功とユーザーエンゲージメントの向上に直結するでしょう。
ELESTYLEが提供する「elepay」に関するお問い合わせはこちらのページをご覧ください。
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